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2008.04.15

「草枕」その二

続・春眠の猫のかたわらで「草枕」を読む

姫さま劇場書籍

姫さま、ヒバリはおしゃべりですね。あんなに元気でにぎやかな鳥のさえずりを、わたくし、初めて聞きました。いえ、それが本当にヒバリのものだったかは定かではありません。ただ、同行者が「あ、ヒバリが鳴いている」と言ったので、「そうか。アレがヒバリの鳴き声なんだな」と、信じただけのことです。

ところで、雲雀は口で鳴くのではなく魂全体で鳴いているんだそうですよ。いえ、先日読んだ「草枕」にそう書いてあったので、「ああ、ヒバリは魂全体で鳴くのか」と、信じただけのことです。

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「で、そのヒバリとやらは、喰えるのか?」

そういえば、「草枕」の主人公はその直後、「口のうちで覚えたところだけ暗誦して見たが、覚えているところは二三句しかなかった。その二三句のなかにこんなのがある。」と、火葬されても心臓だけは燃え残った、という壮絶な逸話を持つロマン派の詩人シェリーの美しい抒情詩「ひばりに寄せて」の一部を引用します。

We look before and after
And pine for what is not
Our sincerest laughter
With some pain is fraught
Our sweetest songs are those that tell of saddest thought.

「覚えているところは二三句しかなかった。」とわざわざ念を押しているワリには、効果的な引用だと思いましたよ。「詩人も楽ではない」ということ以外にもさ。ま、そう、ヒトの世はままならないとグチるだけでは、または、いくらヒバリが魂全体でとはいえ「春が来てうれしい楽しい」とさえずっているだけでは、芸術とやらにはなりゃしませんからね。

まったく、ヒバリもシェリーも漱石も、大したもんですねぇ、姫さま。

以上。

「ひばりに寄せて」
シェリー詩集 (新潮文庫 シ 11-1)

りるる文庫:「草枕」その一 >>

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