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2007.04.04

「2/2」(2005)

熱情鑑賞日記

中島みゆきの原作『2/2 にぶんのに』の映画化。DVDで観た。

[photo]私物

映画『2/2 にぶんのに』の挿入歌として 『竹の歌』、エンドクレジットに『NEVER CRY OVER SPILT MILK』。原作者の出演はなし。DVDの特典メニューは主演二人のインタビューとメイキング、渡部篤郎カメラと予告編収録。余談だが、メイキングはベトナムの観光案内のような作り。当然いろいろ協賛があるっぽく、映画づくりにもさぞかし制約があっただろうにゃ、とか思ったりした。 中京テレビ35周年記念作品らしい。

『中島みゆき夜会 vol.7 2/2』

『2/2 にぶんのに』は、1995年に『中島みゆき夜会 vol.7』として上演され、『夜会』の中ではわりかしお気に入りである。ベトナムのアオザイというのは痩せた女性を美しく見せる。というか、アオザイは痩せていなければ着ることができないっぽい。1995年の中島みゆきはアオザイがよく似合った。また、楽曲もよかった。『竹の歌』『紅い河』『二隻の舟』。

『2/2 にぶんのに』の舞台はおおむねベトナム。ヒロインの名前が莉花で、一緒に生まれるはずだった双子のかたわれが茉莉だ。茉莉は死産だった。二人合わせて茉莉花、ジャスミンである。ほら、いかにもベトナムっぽい。

莉花は自分が双子のかたわれであることを知らずに育ったが、深層でそれをなぜか認識しており、自分だけ生き残ったことに対して無意識の内に罪の意識を持っている。画家の圭に愛され幸福感に充たされたとき、莉花は、隠された罪の意識が作り上げた姉の存在を借り、残忍な方法で自ら幸福を壊そうとする。「幸福になってはいけない」というのが莉花の“正しさ”というものらしい。で、混乱し、このままでは圭まで傷つけかねないと考えた莉花は突然なぜか単身ベトナムに向かうのである。

『中島みゆき夜会 vol.7 2/2 にぶんのに』は楽曲がなければ、中島みゆきに興味なければ、説明的な前半は暗く鬱々として、いささか退屈である。一転明るく面白くなるのは莉花がベトナムに降り立ってからだ。

オンナの一人旅は買い物とおいしいものと贅沢三昧。ついつい散財しすぎ、会社を休みすぎ、おまけにスーツケースを盗まれ、とうとう帰国できなくなった莉花はさまよいながらもベトナムの人々のあたたかさと竹のようにしなやかなたくましさの中にとけこんで行く。

夜会 VOL.7 2/2

クライマックスは、いよいよ姉の茉莉が登場するところだろう。莉花が作り上げた残忍な茉莉とは似ても似つかない、竹を割ったようなキッパリとしたアネゴハダの茉莉が登場するのである。

「人の欲望にねじ曲げられた事実になど人が従っていい“正しさ”はない」というような、なんだかわかるようなわかんないような、けれども、そこはかとなく説得力のある言葉で茉莉は莉花を叱り飛ばすのであった。

以下省略。

ちなみに、『中島みゆき夜会 vol.7 2/2 にぶんのに』のDVDは根岸吉太郎が監督していた。

映画『2/2』

さて、2005年の映画『2/2 にぶんのに』には茉莉姉さんは登場しない。だいいち、茉莉は莉花の妹という設定で、ホラー映画の亡霊のような役割に終わっている。全体的には、原作の前半部分の退屈さをそのままラストまでひきずってしまった印象も否めず、ベトナムまで行った甲斐がない気もする。なんとなく。

で、どうやらこの映画のテーマらしい『運命』は莉花と圭の縁の不思議さにあり、やはり罪の意識に苦しむ圭が莉花のルーツをたどる過程が丹念に描かれているのがほんのり純愛ドラマっぽく、渡部篤郎の感受性あふれる表情も手伝って結構せつないラブストーリーに生まれ変わっていた。

作品詳細

  • 原作:中島みゆき
  • 監督:伊藤秀裕
  • 脚本:藤平久子 伊藤秀裕
  • 出演:瀬戸朝香/渡部篤郎
  • 2005
  • http://www.ctv.co.jp/2-2/

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Comments

ベトナムのアオザイっていいですよね。
すらっとしてかなり綺麗で。
でもあれって国内で買うと結構いい値段するんですよね。(笑)

Posted by: どら猫 | 2007.04.04 at 22:37

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